古くからのお客様、中央区Sビル様
外壁の塗装工事は9年前のこと、
施工前
その後、建物内部の塗装など
いつも声をかけて頂いています。
その昭和な佇まい、私も大好き
以前に弊社のブログでもご紹介
https://kajikawa.exblog.jp/27687839/
昨年末に、雨漏りのご相談を頂き、お伺いしました。
防水の施工も、外壁と同時だったので9年前のことです。
当時の施工の様子
防水シート敷設
防水工事完了の様子
雨漏りの場所としては、ちょうど搭屋(ペントハウス)の下
青色斜線部分の下の辺り
今回は、屋上の防水工事をご提案すると共に、
搭屋の壁からの漏れの可能性も否定できず、
足場仮設の絡まない、搭屋も含めたベランダ内部の壁の塗装も合わせてご提案。
②次に土間の防水工事(搭屋の屋根も含む)
今回はウレタン防水通気緩衝工法(X-1工法)
※立ち上がり部分はX-2工法
ここで疑問
今回は何故ウレタン防水通気緩衝工法?
そもそも前回の施工は何故、シート防水?
9年前の屋上防水の際、特に雨漏りなどもなく、問題の無い状況でした。
防水の種類を選ぶ際、特に問題が無ければ
前回と同じ工法を選択するのは王道ともいえる考え方です。
ですので、前回はシート防水を施工
搭屋の周囲には排水溝が設けられ、形状としては複雑。
シート防水は形状が複雑な部分には不向き。
なので、こうして捲れてしまっていたのです。
ですが、搭屋と屋上土間の取り合い部分は、雨漏りの頻発箇所。
押さえておかなければならない重要ポイントでした。
シート防水では限界があると考えたのです。
ですので、今回は通気緩衝工法を選択しました。
防水工事完了の様子
ところが
工事を終えて1週間ほど後、
まとまった量の雨が降りました。
翌日、オーナーさんからご連絡が
「壁が濡れてるんです」
原因を探るべく、色々と調査してみましたが、
雨漏りの原因ははっきりと掴めず。
壁も天井も濡れているのですが、
どこか1箇所から水が滴り落ちてくるという類のものでなく
全体的にジンワリ濡れているのです。
こんな状況でも
「信頼してますから」と言って下さるオーナーさんに合わせる顔が無く・・・。
申し訳ないという言葉で到底済ませられるものではありません。
頭を抱えました。
それこそ、雨が降るたび見に行きました。
施工に問題があるようにも思えず
「結露では?」・・というのがこの時点での私どもの推測。
オーナーさんにも、可能性をお伝えし、定期的な換気をお願いしました。
時折、このように頭を悩ますことがあります。
悩みの対象は殆どが古い建物。
古い建物は古いなりに、説明のつかない微妙なバランスで均衡が保たれている場合があります。
外壁改修や、防水工事など大掛かりに手を加えることで
今まで微妙な均衡によって潜在化していた問題が、
顕在化する引き金を引いてしまうことがあります。
古い建物の施工は、こういうことも念頭に、心して施工にあたっているのですが・・・
確たる原因のつかめないまま、通い詰めること数週間。
雨の降った翌朝、オーナーさんからご連絡がありました。
「壁、濡れてません!」
オーナーさんもまた、頭を抱えておられたはずです。
同じように状況を観察してくださっていたのです。
一度だけでは安心できないので、
その後もしばらく、雨のたびに見に行っていました。
あれから2ヶ月近く経つのですが、実は1週間ほど前も、まだ気になって見に行きました。
大丈夫でした。
やはり結露という結果だったようです。
防水の工法を変更したことがきっかけでしょうか?
ホッと胸を撫で下ろしました。
やはり、雨漏りは難しいです。
Sビルのオーナーさん、
本来なら信頼関係が根底から覆ってしまいそうな事態でしたのに、
何も言わず見守ってくださり、ありがとうございました。
こんなオーナーさんだからこそ尚更、
「出来る限り・・それ以上のことをしたい!」
そう思わずには居られないのです。
入居の皆様にも、ご迷惑をおかけしました。
今は1階に新たに入居される店舗内装のお手伝いに、
声をかけて頂いています
本当に、
ありがとうございました。